人材紹介の仕事を20年近くやっていると、求人票を見ただけでは絶対に分からない会社の
「顔」が見えてくることがあります。
今回書くのは、もう15年ほどお付き合いしている、香川県のある求人企業の社長との話です。
私がまだヘッドハンターとして駆け出しだった頃から、お世話になっている社長です。
そして香川県へ行くと、なぜか最後はいつも深夜のうどんになります。
初めてお会いしたのは、もう15年ほど前になります。
当時の私は、まだヘッドハンターとして駆け出し。
今のように20年近い経験があるわけでもなく、候補者との面談や企業との打ち合わせも、一つひとつが勉強でした。
そんな頃からお付き合いしているのが、この社長です。
香川県の会社で、いわゆる職人気質の社長。
お世辞を言うタイプではありません。
思ったことは、かなりストレートに言う。
仕事に対しても厳しい。
中途半端なことが嫌いで、採用についても、
「とにかく誰か採用できればいい」
という考えではありませんでした。
良い人がいなければ、無理に採用しなくてもいい。
でも、本当に良い人がいたら紹介してほしい。
そんなスタンスの社長でした。
私は、こういう社長が結構好きなんです。
最初は少し怖い。
言葉数も多くない。
こちらが何か提案しても、
「それは違うな」
と普通に言われる。
でも、長く付き合っていくと、その人が何を大切にしているのかが分かってきます。
社員を大事にしている。
仕事に誇りを持っている。
お客様に中途半端なものを提供したくない。
だからこそ、採用する人にも妥協したくない。
そういうことなんです。
求人企業の社長と人材紹介会社。
普通に考えれば「取引先」という関係なのですが、15年も付き合っていると、それだけでは説明できない関係になってきます。
私が香川県へ行くと、社長と食事をします。
そして、この食事が長い(笑)。
18時、19時くらいから始まって、気がつけば23時。
場合によっては24時近くまで話しています。
話す内容も採用だけではありません。
会社の将来。
住宅業界のこと。
社員のこと。
昔採用した人のこと。
これから会社をどうしていくのか。
そして私自身の仕事の話。
「上原さん、最近どうなん?」
そんなところから、また話が始まります。
15年前は、私も駆け出しでした。
社長から見れば、頼りない部分もたくさんあったと思います。
それでも仕事を任せていただき、香川県まで何度も足を運びました。
その積み重ねが15年続いています。
そして、夜も深くなってくると、
「うどん行くか」
となります。
これが、いつの間にかルーティンになりました。
高松市の商店街にある、深夜まで営業している有名なうどん屋さん。
時間はだいたい24時前後。
散々食事をして、散々話したあとです。
普通なら、
「もうホテル帰りましょう」
となる時間です。
それでも最後にうどんを食べる(笑)。
夜の高松の商店街を歩きながら、また仕事の話をする。
そして店に入って、社長とうどんを食べる。
何度やったか分かりません。
でも不思議なもので、私はこういう時間をよく覚えています。
会議室で何を話したかは忘れてしまうのに、深夜0時にうどんを食べながら話したことは覚えている。
人間って、そんなものなのかもしれません。
求人票には書けないものを知る
人材紹介というと、
「求人をもらって候補者を紹介する仕事」
と思われるかもしれません。
もちろん、それも仕事です。
でも私は、それだけでは良い紹介はできないと思っています。
その会社の社長がどんな人なのか。
何を大事にしているのか。
どんな社員をかわいがるのか。
逆に、どんな人とは合わないのか。
会社が苦しい時にどういう判断をする人なのか。
こういうことは、求人票には書いてありません。
年収600万円。勤務地香川県。経験者募集。
これだけなら、どこの人材会社でも説明できます。
でも、
「この社長はこういう人です」
という話は、長く付き合わないとできません。
深夜まで語って、一緒にうどんを食べて、時には仕事とは関係ない話までして。
そうやって初めて分かることがあります。
だから私は、求人企業との時間も大切にしてきました。
15年経って思う、人材紹介の面白さ
15年前。
まだヘッドハンターとして駆け出しだった私と、その社長が出会いました。
そこから何度も香川県へ行きました。
仕事の話をして、人の話をして、会社の未来の話をして。
最後は深夜の高松でうどんを食べる。
それが15年続いています。
人材紹介の仕事は、紹介して終わりではありません。
採用が決まって、紹介料をいただいて、それで終わり。
それだけだったら、私は20年近くもこの仕事を続けていなかったかもしれません。
企業とも、候補者とも、長い付き合いになる。
10年、15年と時間が経っても、
「上原さん、久しぶり」
と言ってもらえる。
そしてまた同じ場所で、同じように仕事の話をする。
私は、そんなところにこの仕事の面白さを感じています。
次に香川県へ行った時も、おそらく同じでしょう。
夜遅くまで社長と語って、
時計を見たら、もう24時。
そして社長が一言。
「上原さん、うどん行くか」
たぶん私は、
「行きましょう」
と言うと思います。
15年間変わらない、高松でのルーティンです。
そして、こういう時間こそが、人材紹介という仕事の一番面白いところなのかもしれません。
