グループ創業18年【住宅・不動産・リフォーム】のスカウト・ヘッドハンティング

第二話 四国のファミリーレストランで会った現場監督の話。 お父さんの紹介で入った工務店を去るのか。それとも残るのか。

私は彼と初めて会いました。

場所は、四国のとあるファミリーレストラン。

初対面にもかかわらず、気が付けば2時間近く話し込んでいました。

最初は仕事のこと。

家族のこと。

趣味のこと。

そして、将来のこと。

話を聞いているうちに、私は一つの違和感を覚えました。

「この人は、本気で転職したいわけではない。」

そこで私は率直に聞いてみました。

「実は、まだ転職する気はないんじゃないですか?」

すると彼は少し笑いながら答えました。

「はい、実はそうなんです。」

「今の会社に大きな不満はありません。」

「社長にも本当にお世話になっていますし、一緒に働く人たちも好きなんです。」

やはり、私の感じた通りでした。

では、なぜ私に会いに来たのか。

彼は少し考え、ゆっくりと本音を話し始めました。

「実は今の会社は、大工をしている父の紹介で入社した工務店なんです。」

その言葉を聞いて、私はすぐにこの転職相談の難しさを理解しました。

しかも、お父さんはその工務店の下請けとして仕事を請け負っていました。

もし彼が退職すれば、お父さんと会社との関係にも影響が出るかもしれない。

仕事にも迷惑をかけてしまうかもしれない。

だから彼は、簡単に「辞めたい」と言える立場ではありませんでした。

仕事そのものに不満があるわけでもありません。

社長への恩義もある。

お父さんへの感謝もある。

それでも、彼には一つだけ将来への不安がありました。

彼は施工管理技士の資格を持つ現場監督でした。

しかし、今の会社で経験できるのは民間の戸建て住宅が中心。

公共工事や大型建築物など、より幅広い施工管理を経験する機会はほとんどありませんでした。

彼は静かにこう言いました。

「このまま10年、20年と働いた時、自分はどんな施工管理になっているんだろう、と考えることがあるんです。」

「もっと大きな建物にも携わってみたい。」

「もっと施工管理として成長したい。」

その言葉を聞いた時、私は確信しました。

これは「今の会社が嫌だから辞めたい」という相談ではありません。

自分の可能性をもっと広げたい。

そんな前向きな相談だったのです。

だから私は、その場で転職を勧めることはしませんでした。

「焦って決める必要はありません。」

「今はまだ、今の会社で学べることもあると思います。」

「でも、将来、本当に転職すると決めた時には、必ず力になります。」

そう伝えて、その日は別れました。

あの日は、転職を考えていなかった彼。

私は、この出会いが一度きりになるかもしれないと思っていました。

しかし、それから数年後。

一本の電話が鳴ります。

「上原さん、ご無沙汰しています。」

受話器の向こうには、あの日ファミリーレストランで向かい合って座っていた彼の声がありました。

「実は、転職のことで相談があります。」

あの日、転職を考えていなかった彼が、自ら私に連絡をくれたのです。

その瞬間、私は「いよいよ、その時が来たんだ」と思いました。

(第三話へ続く)

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