当時の彼は、お世辞にも営業が得意とは言えませんでした。
だから私は、住宅営業として成果を出すための考え方や行動について、具体的にアドバイスをしました。
最初は、
「なるほど。」
というくらいの反応でした。
ちょうどその頃、彼は結婚を控えていました。
私は最後に、こんな言葉を伝えました。
「転職するかどうかは関係ありません。」
「でも、今の会社で本気を出したら、あなたはトップセールスになれると思います。」
「本当に、今のままでいいんですか?」
少し厳しい言い方だったかもしれません。
でも、彼ならできると本気で思っていたからです。
人は能力がないから売れないのではなく、自分の可能性にブレーキをかけているだけのこともあります。
私は、そのブレーキを外してあげたかったのです。
すると彼は、少し驚いた表情でこう言いました。
「なぜ、私が今の仕事に少し退屈していることが分かったんですか?」
私は答えました。
「私は、仕事をしているあなたではなく、その奥にある”心”と会話をしていました。」
「だから、今の仕事に本気を出し切れていないと感じたんです。」
「あなたなら、もっと売れます。」
「私はこれまで全国のトップセールスをたくさん見てきました。だから分かるんです。あなたが本気を出せば、必ずもっと伸びます。」
そして最後に、こう伝えました。
「転職は、一度横に置いておきましょう。」
「まずは今の会社でトップセールスになってみませんか。」
「『もうこの会社で学ぶことはない』と思えるところまで、突き抜けてみてください。」
「そこからしか見えない景色があります。」
彼は少し考えたあと、力強くこう答えました。
「分かりました。やってみます。」
その言葉を聞いて、私は彼なら必ず変われると確信しました。
(第三話へ続く)
